N-Proヘッドキャップの効果検証 – 脳損傷軽減に向けた最先端研究
アイルランドにおいて、ラグビーヘッドギアの脳損傷軽減効果を検証する先駆的な研究の第1シーズンが完了しました。8月31日、アイルランドラグビー協会(IRFU)は、研究チームおよび第1シーズンの実施機関の代表者をIRFUハイパフォーマンスセンターに迎え、成果報告を行いました。本研究の主任研究者であるフィリップ・J・オハローラン教授(脳神経外科医)は、IRFUの支援のもとで進められている「ラグビーヘッドギア有効性研究」の第1シーズンの最新データを発表しました。本研究は、ワールドラグビーの「ルール4 ヘッドギア試験(Law 4 Headgear Trial)」枠組みに基づいて実施されています。
N-Proと「ルール4 ヘッドギア試験」
ワールドラグビーは、新しいヘッドギアデザインのフィールドテストを実施し、脳損傷予防の効果を評価するために「ルール4 ヘッドギア試験」枠組みを設けました。N-Proは、この枠組みのもとで初めて承認を受けた製品であり、脳損傷バイオマーカー(神経細胞損傷を示す血液・唾液中の指標)の軽減効果を検証する研究が進められています。
本研究は、欧州イノベーション評議会(EIC)およびN-Proの開発元であるアイルランドのContego Sports社の共同資金提供を受けて実施されています。
第1シーズンの研究成果
シーズン1では、アイルランド全土から13チーム189名の選手が参加しました。そのうち13%は女性で、すべて16歳以上の選手が対象となりました。
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インスツルメンテッド・マウスガードを装着し、16,000件以上の頭部加速度データを取得
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9,000件以上の血液サンプルおよび400件以上の唾液サンプルをバイオバンクに保存
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高度MRIスキャンおよび神経認知機能テストによる脳損傷評価
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**バイオマーカー分析(UCH-L1、GFAP、NFL、Tau)**を用いた損傷の定量評価
シーズン2へ向けた拡大
シーズン1の知見を踏まえ、研究チームはシーズン2の試験を開始し、データの蓄積を強化しています。
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新たに6チームを追加し、総参加選手数は300名以上に増加
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追加の神経画像解析とバイオマーカー測定を実施
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最終研究結果は2027年第4四半期に発表予定
オハローラン教授は、次のように述べています。
「従来のラグビーヘッドギアは、頭部の外傷を防ぐことを目的としていましたが、脳損傷リスクの低減には設計されていません。N-Proのような新技術の実証研究は、脳損傷の予防に向けた大きな前進です。最新のバイオマーカー分析、神経画像診断、インスツルメンテッド・マウスガードなどを活用し、独立した立場でその有効性を検証しています。」
IRFUの支援と安全対策の強化
IRFUの医療ディレクターロッド・マクロリン博士は、研究の重要性について次のように述べています。
「シーズン1の研究は、ヘッドギアが脳損傷バイオマーカーの軽減にどのように寄与するのかを理解する上で、極めて重要なステップでした。この取り組みは、IRFUがすべての選手にとってラグビーをより安全なスポーツにするという強いコミットメントを示すものです。多くの参加者と高い遵守率を誇るシーズン1の成功を受け、シーズン2の拡大に期待しています。」
まとめ – N-Proの役割と今後の課題
N-Proヘッドガードは、従来のヘッドギアとは異なり、脳への衝撃吸収を目的とした最先端の設計を取り入れています。現在進行中の臨床研究では、N-Proが脳損傷の発生リスクを低減できるかどうかを科学的に評価しており、シーズン1のデータから有望な傾向が見られています。
2027年の最終結果が公開されることで、N-Proの効果がさらに明確になり、ラグビーにおける脳損傷予防策の新たな基準が確立される可能性があります。
スポーツ医療と脳損傷予防の未来に向けて、N-Proの研究成果と今後の展開にぜひご注目ください。